アメリカのアフガン撤退から見えてくるもの | ||||||||||||
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アメリカのアフガン撤退から見えてくるもの | ||||||||||||
全世界に衝撃を与えたアメリカ同時多発テロから20年が経った2021年8月15日、アフガニスタンではタリバンが大統領府を掌握し、現政権は事実上崩壊した。 タリバン幹部は同日、ビデオ声明で勝利を宣言した一方、国外に退避したとみられるガニ大統領は、自身のフェイスブックでタリバンの勝利を認めた。 これにより、アフガニスタン政権は事実上崩壊し、タリバンが再び政権を握ることが確実になった。 タリバンとは、アラビア語で「神学生」を意味する。 1980年代に旧ソ連がアフガニスタンを侵攻した際、多くの難民が隣国のパキスタンに逃げ込んだが、パキスタンのイスラム神学校で教育を受けた難民の子供たちを中心に、1994年に結成された。 1996年に政権を樹立したが、米同時多発テロ事件の首謀者の身柄引き渡しを拒否したため、米国が軍事作戦に踏み切り、2001年にタリバン政権は崩壊した。 米軍の撤退やアフガニスタン治安部隊の低い士気などが、8月以降のタリバン急進撃につながった。 タリバン復権の背景には、アフガニスタンからの米軍の撤退という要因がある。 米国は2011年以降、軍事費削減を求める議会などの声を受け、段階的に現地駐留部隊の規模を縮小した。 その後、米国とタリバンは2020年2月に初めての和平合意に署名、今年1月に発足したバイデン政権は、アフガニスタンからの完全撤退の時期を8月末とする方針を7月に発表した。 これを受け、反攻の機会をうかがっていたタリバンは、8月に入って次々と州都を制圧し、8月13日までに34州都のうち18州都を制圧した。 米国防総省などによると、アフガニスタン政府の治安部隊の兵力は約29万人、タリバンの主要兵力は約6万人とみられている。 ただ、治安部隊の士気は低く、私兵組織などを加えたタリバンの兵力は20万人超という指摘もあり、これらがタリバン急進撃につながったと考えられる。 これがざっくりとした今までのいきさつである。 20年間で米国の払った代償は、2500人近い兵士の命と2兆ドル(約220兆円)以上の戦費である。 なぜアメリカはアフガニスタンを撤退しなければならなかったのか? 「世界最強の軍事力」を有するアメリカであれば、アフガニスタンを完全にアメリカの支配下に置くこともできたのではなかろうかとの疑問がわいてくる。 しかし現実にはそれはできなかった。 「できなかった」のか、それとも「できたけどしなかったのか」 それは今はわからない。 アメリカのアフガン撤退の理由はいろいろ考えられているが、結局のところ、「お金が無くなった」からである。 そもそも、アメリカはアフガンを「守る義務」は何もない。 20年前の「報復」でしかない。 お金が無くなれば撤退して当然なのだ。 タリバンは武力によってアフガン政権を掌握した。 この「武力」の基礎となっている「資金」と「武器」はどこから来ているのか? 当然考えられるのは、主には中国、そしてそのサポートとしてのロシアである。 まさにアフガニスタンは米中の代理戦争である。 ただ、このまま引き下がって手を拱いているアメリカではない。 アメリカは今後必ず、何かしらの動きを見せるはずである。 今考えられることは、今回の撤退は「計画的撤退」である。 タリバンがアフガンを完全掌握し、それに中国も乗っかるようなことがあれば、まさに「飛んで火にいる夏の虫」である。 「世界秩序維持」という大義名分を引っ提げて、アメリカ国内に有り余っている消費期限ぎりぎりになった「ミサイル」の「一斉在庫処分」がおこなわれるであろう。 こうしてまた軍需産業を潤わせて、疲弊しているアメリカ経済を再建させるであろう。 アメリカの上層部、いや、アメリカの裏の組織の連中は、今回のアフガン撤退をどのように見ているのか? 悔しくて「歯ぎしりしている」のか、それとも仕掛けた罠に獲物がかかるをのワクワクして待っているように「ニヤケ顔」で見ているのか? さて、日本にとってこのアフガン問題は遠い世界のテレビ画面の中だけの問題なのかと云えば、そうではない。 それは大間違いである。 「明日、太陽が昇る」のが当然であることくらい必ず起こることは、「米中戦争」である。 これはもう絶対に避けることができない。 「米中戦争」、これを大前提としておかねばならない。 現時点でアメリカがアフガンを撤退したのは、紛れもなく「金欠」だからである。 それともう一つの撤退理由の重大事は、「これ以上アメリカ国民の命をアフガンで落とさせないこと」である。 つまりは、アメリカの国民と国益を守るためである。 当然の理由である。 では、アメリカのアフガン撤退が日本と何の関係があるのか? 「アフガン」を「日本」と言い換えればよく分かってくる。 2500人の兵士の命と、2兆ドルをかけて戦ったアフガニスタンをも捨てたように、日本も見殺しにされるであろう。 アメリカの国民と国益を犠牲にしてまでアフガニスタンを守ろうとしないように、アメリカは日本を守ろうとはしない。 そして「金欠」のアメリカにとって、日本を守る力も失われつつある。 ここで、浅はかな者は言ってくる。 日本とアメリカには強固な「安保条約」が結ばれているんだ! アメリカは日本を守る義務があるんだ! だからアメリカはアフガニスタンを見捨てたようなことを日本にするわけがない! と。 これを「浅はか」というのである。 よくよく日米安全保障条約の全文と問題点 を読んでみてほしい。 これを読めば、いかに「日米安全保障条約」というものが「薄氷を踏むような」条約であるかがわかる。 一度でもアメリカの機嫌を損ねてしまえば、「安保条約を破棄する」と言われてしまう。 「安保条約破棄」という、アメリカの日本に対する最上級の「脅し文句」の前に、日本はただひれ伏すしかない。 だから日本はアメリカの言いなりなのである。 こういえば、また反論しようとして、このように言ってくる者がいるだろう。 「安倍・トランプの蜜月関係」を見れば、日本とアメリカは対等ではないか、と。 親し気なツーショット写真を見れば、いかにも「対等」のように見える。 しかし本音は違う。 安倍とトランプがゴルフ場を回った時、安倍はバンカーで見事な「後ろでんぐり返し」を披露してくれた。 このとき、トランプは安倍に手を差し伸べるどころか、目もくれずに次のホールへと足を向けた。 これがトランプの「本音」であり、アメリカと日本の関係を象徴したものだった。 安倍のスローガンであった「美しい日本を取り戻す」「戦後レジームの脱却」というのは、そもそも「アメリカ支配からの脱却」という意味である。 これをトランプは見抜いていたのである。 大多数の国民の意見を無視してまで強行された「オリンピック」も、アメリカの言いなりであった。 オリンピックの大スポンサーはアメリカ企業である。 タリバンは「イスラム」という名の軍事独裁。 中国は「共産党」という名の軍事独裁。 見た目は違えど、中身は同じである。 「善良な一般のアフガニスタン人がタリバンに蹂躙」されている。 この姿は近い将来起こる「善良な一般の日本人が中国共産党に蹂躙」される。 今のアフガニスタンは、近い将来の日本の姿なのである。 |
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