日米安保条約全文
外務省ホームページより
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku.html
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約
日本国及びアメリカ合衆国は、両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、よつて、次のとおり協定する。
第一条
締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。
第二条
締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。
第三条
締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。
第四条
締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
第五条
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。
第六条
日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。
第七条
この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。
第八条
この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。
第九条
千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。
第十条
この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。
以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。
日本国のために
岸信介
藤山愛一郎
石井光次郎
足立正
朝海浩一郎
アメリカ合衆国のために
クリスチャン・A・ハーター
ダグラス・マックアーサー二世
J・グレイアム・パースンズ
日米安保の重大な欠陥
「この『日米安保』によって、日本はアメリカが守ってくれる」と、無知な日本人はそう信じて疑わない。
しかし、この条約には重大な欠陥がある。
それは、第五条および第十条にある。
まず第五条には
「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とある。
各締約国とは、言うまでもなくアメリカと日本のこと。
すなわち「日本の領域内で、日本またはアメリカに対して武力攻撃が行われ、それが日本またはアメリカの平和と安全を危うくするものであれば、これに対処するように行動する」ということである。
最近、中国の戦艦が尖閣諸島海域内を跋扈している。
これに対して日本はアメリカに「尖閣諸島は日本の領域だ」と、何とか認めさせようと必死になっているが、アメリカがこれを認めれば、もし中国が尖閣諸島海域内で武力攻撃をしてきたら、アメリカはこれに対処すべき行動を執る義務が発生することになる。
この中の「対処するように行動する」とは、反撃、またはアメリカが日本を、あるいは日本がアメリカを護衛するということである。
武力攻撃を受けた際、(形式上ではあるが)武力を持たない自衛隊は反撃することができない。
そこで、反撃をアメリカに全面的に依頼し、日本はアメリカを護衛するということにその行動は限定される。
この条約が効力のある限り、アメリカは日本を守り、日本は米軍を護衛することが「義務」である。
しかし条文の内容の重大な部分を見落としがちである。
それは「自国の憲法上の規定及び手続に従つて」の部分である。
もっと的を絞れば、「手続」の部分である。
この「手続」とは何を意味しているのか。
それは「議会の承認」である。
つまり「議会の承認」を経て、アメリカは反撃できるということである。
逆に言い換えれば、「議会の承認」を経ることができなければ、反撃することができないのである。
要は、日本が攻撃されても、アメリカが「議会の承認」を経ることができなければ、アメリカはこれに手を出すことができないのである。
アメリカの行動は、そのすべてがアメリカの国益のためである。
アメリカの国益を損なってまで日本を守らなければならない理由など、何もない。
アメリカが日本を守るということも、それがアメリカの国益に適うからである。
もしアメリカにとって、日本を守ることが国益に適わないのであれば、あっさりとアメリカは日本を見捨てるのは、火を見るよりも明らかである。
卵を産まないニワトリにエサを与える意味は無い。
それどころか、卵を産まないニワトリは〆て焼いて食べるしか価値はない。
安倍首相がトランプ大統領におべっかを使っているのも、高い買い物をさせられるのも、不利な貿易をさせられるのも、すべてはアメリカに見捨てられないようにするための涙ぐましいささやかな努力なのである。
次に第十条について。
これはまた重大でありながらも、ほとんどの日本人はこれを知らない。
無知な日本人は、日米安保条約が永久不滅、金剛不壊のような条約だと勘違いしている。
ところがこの第十条には、無知な日本人の勘違いを一刀両断するような条文が書かれている。
それは「いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する」のところである。
つまり「日本がアメリカに、またはアメリカが日本に、一方的に『この(日米安保)条約を終了する』と通告すれば、1年後に終了する」とあるのである。
いまの日本では一方的にこの日米安保を破棄するなどということは、あらゆる面から見ても考えられない。
しかしアメリカにとっては、アメリカ人の血を流してまで日本を守ることによるアメリカの国益を見込むことができなければ、まさに卵を産まないニワトリのように、〆て焼いて食べて終わりである。
中国・ロシア・北朝鮮等の侵略的核保有国が、美味しい卵を産むニワトリである日本に攻めてこないのは、なにも日本を恐れているからでは決しない。
あくまでも「日米安保条約」という印籠があるからである。
日本に残された道は3つ。
一つには、アメリカにおべっかを使い続け、貢ぎ続ける。
二つには、自主防衛のために核を持つ。
三つには、中国・ロシア等の手に落ちる。
どの道を行こうとも、日本の破滅しか道は残されていない。
ではこの状況を打開する方法はないのか。
結論を言おう。
この状況を打開する方法は・・・・・・ない。
一つの方法を除いて
|