2年かけて完成したのに…
トンネルは「空洞だらけ」ほぼ全工事やり直しへ
「30センチ必要なのに…厚さ3センチ」
敏腕だった現場所長がなぜ数値偽装?


2年かけて完成したのに…トンネルは「空洞だらけ」ほぼ全工事やり直しへ「30センチ必要なのに…厚さ3センチ」敏腕だった現場所長がなぜ数値偽装?(MBSニュース) - Yahoo!ニュース
2023/12/31(日) 7:00配信
和歌山県の串本町と那智勝浦町を結ぶ「八郎山トンネル」でコンクリートの厚さが不足するなど施工不良が見つかった問題。
県はトンネルの工事を全面的にやり直す方針を決定しました。
今回施工を担当した建設会社の調査結果では、作業所長は「コンクリートの厚さが確保できないことを認識しながら、数値を偽装して検査を通した」と回答していたということです。

少なくとも約8割が空洞…県「正直に驚き隠せない」
問題となっているのは和歌山県の串本町と那智勝浦町の町境をつなぐ県道のトンネル「八郎山トンネル」です。
県などによりますと、全長は711mで、地震などの災害時には、海沿いの国道42号の迂回道路として、重要な意味合いを持つ県道として、整備中で、トンネルは去年9月に完成し、今年12月に供用開始の予定でした。
しかし、去年12月に行われた照明の設置工事で、作業員が設置しようと、アンカー用の穴をあけたところ、コンクリートを貫通して内部に空洞があることがわかったということです。
空洞は少なくとも約8割の範囲に及んでいて、その後の調査で、本来の設計なら、コンクリートの厚さは30センチ必要なのに、最も薄いところで、わずか1/10の「3センチ」しかなかったということです。

県の担当者は発覚直後、「現場の管理がされていないことに正直に驚きを隠せない。非常に遺憾」だと話していました。

トンネル工事は和歌山市にある「淺川組」と田辺市の「堀組」の共同事業体が実施していました。

県によりますと、業者は完成後、「覆工コンクリートの厚さは設計以上に確保されていた」という内容の書類を提出したということですが、県の聞き取りに対して、「検査で薄いことは把握していた」と回答していて、書類を設計値以上に書き換え、改ざんを認めたということです。

県ではトンネル工事の際にコンクリートの厚さを検査するよう定めています。
その検査は、工事の進捗に応じて業者側から県への要請に基づいて行われるもので、計136回の検査が必要でしたが大幅に下回る6回しか行われていなかったということです。
専門家ら「ほぼ全面的にやり直す必要ある」
八郎山トンネルめぐり今後の工法を検討する専門家らの「技術検討委員会」が立ち上がっていますが、12月20日に行われた第三回会議で、鋼材約700本の大半で本来設置するべき場所からずれているなどしたことが県の報告で分かったということです。
そのため検討委では、内壁だけではなく、「ほぼ全面的にやり直す必要がある」と判断したということです。

現場所長は『トンネル工事』の敏腕社員…従業員「所長を超えて内部通報はできない」

浅川組などによりますと、今回のトンネル工事を担当した現場所長は社内でも経験が豊富で「トンネル工事」と言えばこの人と称される“敏腕社員だった”ということです。

所長は社内でのヒアリングに対して「覆工コンクリートの厚さが確保できないことを認識しながら、本社に相談することなく工事を進め、数値を偽装して検査を通した」と回答、また、現場の従業員へのヒアリングでは、「作業所長の判断は絶対」「所長を超えて内部通報はできない」との回答が大半だったということです。

また所長は『覆工コンクリートは、化粧コンクリートのようなもので厚さが足りなくても問題ない』などという発言もあったということです。

この内容について報告を受けた県の担当者は「全く信じられない発言で、あり得ない」と話しました。

供用開始は2年遅れ…浅川組が過去関わったトンネル工事 県が全面調査へ

和歌山県によりますと、今回のトンネル工事のやり直しにより、本来の工事期間は2年で、今年12月に供用開始の予定でしたが、この影響で、供用開始が約2年遅れる見込みだということです。
県によりますと、浅川組は和歌山県内で2005年~2019年にかけて11のトンネル工事に単独もしくはJVの形で関わっていたということです。
県では問題発覚後に各トンネルの工事報告書などを確認し、書面上は施工に問題がないということですが、今後現地にて検査を行うなどして、全トンネルについて施工不良がなかったかを全面的に調査を行う方針だということです。
現場所長の判断からトンネルの7割にも及ぶ施工不良に及んだ今回の問題。災害のう回路として活用が期待されていた地元の人にとっても、早期の開通が望まれます。
会社情報 | 株式会社淺川組 (asakawagumi.co.jp)
会社案内 (horigumi.co.jp)

県などによると・・・地震などの災害時には・・・国道42号の迂回道路として・・・整備中で、・・・今年12月に供用開始の予定。
本来の設計なら、コンクリートの厚さは30センチ必要なのに、最も薄いところで、わずか1/10の「3センチ」しかなかったということ。

薄っぺらい県の防災意識。
薄っぺらい施工業者の責任感。

和歌山県そのものである。
update 2024.3.24
since 2024.3.24

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