連発する北朝鮮のミサイル発射の意図とオオカミ少年戦術

北朝鮮のミサイル発射の意図
北朝鮮は2022年の1年間に発射したミサイルは、少なくとも73発。

この発射の意図を多くの学者・専門家の分析によると
「アメリカと南(韓国)の軍事的威嚇行為が看過できないほど深刻化する情勢のなか、致命的な核反撃能力を構築するための戦略核武力を示した」と。

「アメリカへの打撃力を誇示する」と。

これが多くの専門家の最大公約数的な分析結果である。

つまり「やれるもんならやってみろ!」
ということである。

オオカミ少年
イソップ物語に出てくる「オオカミ少年」。

その内容は知っていると思うので詳細は割愛するが、簡単に説明すると
羊飼いの男の子は、羊の番の退屈しのぎに、村のほうへ走っていき

「オオカミがきた!たいへんだ!」

と大声で叫びました。

男の子の声を聞きつけた村人たちは大慌てで飛び出してきました。

「オオカミはどこだ!?」

けれど、どこを見渡してもオオカミの姿はありません。

「なんだ、どこにもいないじゃないか」
「なんて嘘をつくんだ!」

イタズラが成功した男の子は、村人たちのようすを見てお腹を抱えて笑いました。

しばらく経ったある日、男の子は再び叫びます。

「大変だ、オオカミがきた!」

男の子の声を聞いた村人たちはまたも大慌てで駆けつけ、その様子を眺めていた男の子はまたも大笑い。

「なんて大嘘つきなんだ。困ったやつめ」

村人たちは呆れて帰っていきます。

男の子にとっては、退屈しのぎのちょっとしたイタズラのつもりでした。

ある日、いつものように羊の番をしていると、向こうのほうからオオカミが羊めがけて走ってきているではないか。

「大変だ!今度こそ本当にオオカミがきた!助けて!」

男の子は全速力で村人たちへ知らせますが、誰も話を聞いてくれません。

「またいつもの嘘か」

男の子は必死で知らせますが、もう誰も信じてくれませんでした。

そうこうしているうちに羊たちは全てオオカミに食べられてしまいました。

男の子にはどうすることもできず、ただその場で泣き崩れるだけでした。
男の子にとってはちょっとしたイタズラのつもりでしたが、何度も嘘をつかれてかんかんに怒った村人たち。

そして、本当にオオカミが現れたときには誰にも信用してもらえず、大事な羊が食べられてしまうのでした。

『オオカミ少年』には”嘘ばかりついていると本当のことを言っても誰も信じてくれなくなる”という大事な教訓がこめられています。

日本の軍事力
世界各国の軍事力レベルを分析して発表しているグローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)によると、2021年の軍事力ランキングで日本は世界第5位となっており、英国やフランスより上となっている。
軍事力ランキングで上位の日本、その実力は本物なのか=中国報道 - ニュースピックアップ | フレッシュアイニュース (fresheye.com)

核保有しているイギリスやフランスよりも上位の軍事力があるということに疑問を持たざるを得ないが、少なくとも北朝鮮よりも上位であることは明らかであろう。

つまり、この分析によれば、理論上は日本の防衛力によって北朝鮮による攻撃は防げるということである。

日本の防衛力を無力化する方法
日本の防衛力を無力化する方法こそ「オオカミ少年戦術」である。

①何度も何度も「ミサイルを打ち込むぞ!」と脅しをかける。

②その度に迎撃準備をする。

③ある時をさかいに、「どうせ打ってこないんだから迎撃準備する必要はないだろう」と油断させる。

④そのときこそ最大の攻撃機会である。

これが防衛力を無力化させるプロセスである。

領海と接続水域と排他的経済水域
「領海」とは、「国家の領域の一部となる海域」で、原則として領海の基線から外側に12海里(約22km)までを「領海」とすると規定されている。

「領海」は、国家の領域の一部であり、領土や領空と同様に沿岸国の主権が及ぶ。

ただし、全ての国の船舶は、沿岸国の平和や秩序、安全に害を与えるものでないかぎり、原則として、他国の領海を継続的かつ迅速に通行できる「無害通航権」を有する。
「接続水域」とは、「領海に接続する一定範囲の公海海域」で、沿岸国は「接続水域」において領土・領海で法令違反が行われることを防止するための規制を行うことが認められる。

「接続水域」の幅は、領海の基線から外側に24海里までと定められている。

「接続水域」は、「公海」の一部で国家の主権が及ばない点が、「領海」との違いになる。

しかし、一定の権限の行使は認められており、例えば密輸のおそれのある船が「接続水域」内に入ってきた場合には、「領海」へ近づかないよう警告することなどができる。
「排他的経済水域」とは、「沿岸国の経済的な権利が及ぶ水域」で、「EEZ」(Exclusive Economic Zone)という略称で呼ばれる。

その範囲は、領海の基線から外側に200海里(約370km)までの範囲となっているが、公海の一部であり、国家の主権は及ばない。

沿岸国はこの水域内であれば、水産資源や鉱物資源の探査・開発・保存・管理などを行うことができ、また、海洋の科学的調査に関する管轄権や海洋環境の保護及び保全に関する管轄権も有する。

排他的経済水域における外国船の漁については、沿岸国の許可がある場合に限り認められる。
※公海・・・国家の領有が禁止され、すべての国が自由に使用できる海域のこと。
つまり・・・

●領海は
攻撃意図をもって侵入してきた者に対して防御(のための攻撃)することができる。

●接続水域は
公海の一部なので誰が通行してもいいが、それ以上近づくなと警告することができる。

●排他的経済水域は
公海上ではあるが、許可なく勝手に漁や海洋資源を取ってはいけないエリアである。

侮ってはいけない北朝鮮のミサイル技術
北朝鮮が発射したミサイルの着弾地点が日本のEEZの外か内かがニュースで問題視されている。

EEZ内であれば、当然日本の漁船があるわけだから日本として当然抗議するべきである。

ただし、EEZ内であっても、そこはあくまでも「公海上」なので、日本の主権は及ばず、抗議することはできても日本の防衛力を駆使することはできないのである。


これを踏まえたうえで・・・

北朝鮮は発射したミサイルを日本の日本海側のEEZぎりぎりに落としている。

あるいは日本の上空の宇宙空間を通過して太平洋上の公海にミサイルを落としている。

ちなみに国土の上空はその国の領土だが、宇宙空間はどの国の領土でもないので、自由に飛ぶことができる。

つまり、狙ってそのミサイルをそこに落としているのである。

北朝鮮は領土・領海を外すように狙ってそこに落とすという高度な技術をすでに持っているのである。

北朝鮮が日本の領土・領海内にミサイルを撃ち込むのはいつか?
もし山でクマに遭遇した時は、絶対に背中を向けてはいけない。

必ずにらみ合ったまま背中を向けずに後ずさりして避難しないといけない。

もし背中を向ければ、クマは一気に襲い掛かってくる。

なぜなら、背中を向けた瞬間、反撃の意思がないと思うからである。

もっとも効果的な攻撃機会は、相手が身構えもせずに油断しているときである。

北朝鮮がミサイルを撃ち込むときこそ、日本が身構えずに油断した時である。

だからこそ、日本人が「また発射してきた。もうウンザリだ」と思うようになるまで北朝鮮のミサイル発射実験は繰り返される。

update 2023.4.15
since 2023.4.15

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