老人の自動車事故
2019/5/18

ここ最近、高齢者による痛ましい自動車事故が全国各地で多発しているように見受けられる。

ここに思うことがある。
医学界では、凡人には理解できないような頭脳の持ち主が、凡人には計り知れないような努力を重ねて、少し前までは「不治の病」と言われていたような病気を克服するまでになり、確実に平均寿命を延ばすようになってきた。
また、先日放送していたNHK「遺伝子の世界」という番組は非常に興味深く拝見させて頂いた。
この番組によると、DNAを調べれば鼻の高さから肌の色、ガンになりやすいなりにくい、はたまた性格までが解析できるようになったという。
縄文人の遺骨から採取されたDNAを解析して、容姿を再現し、お酒に強い体質だったなどということまでわかってきたというニュースも話題になった。
このように医学の発展には大いに目を見張るものがある。

しかしながら、である。
冒頭に示したような高齢者による自動車事故や、あるいは痴呆症の高齢者がこれからさらに増加する、などという将来を悲観させられるようなデータもある。
あるいは、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」などという言葉も生まれた。
高齢者施設は満杯状態で、入居希望者は長い期間待機させられている。
そして待機を余儀なくされている期間に孤独死してしまうケースも少なくない。
高齢者施設で働く介護職員の給料が安すぎるという問題も発生している。
痴呆症の入居者による暴言・暴力、女性職員は入居者にセクハラを受けたなどという話もよく耳にする。

あるいは高齢者を狙った詐欺も、その被害件数・被害額は増加の一途をたどっている。

「人口の逆三角形ピラミッド」という言葉がある。
高齢者の人口が増加し、逆に若年層の人口が減少している。
若年層の高齢者に対する負担は増加するばかりである。

このように、問題点を挙げれば書ききれないほどの事例がある。

医学の発展に伴い、これに反比例するように問題が多様化・複雑化している。
もし将来さらに医学が発展すれば、さらに問題の多様化・複雑化が増していくことは想像に難くない。

「人生100年」などと謳った保険も登場している。
少し前までは考えられないような保険の補償内容である。

医学の更なる発展も必要である。
高齢者に対する法整備も大事である。
介護施設の充実も大事である。
介護施設で働く職員の充実も必須である。
詐欺等に対する罰則も厳格化する必要があろう。
事故が起こらないような車を作っていくことも求められる。
その他ありとあらゆる対策が今現在においても早急な対策が求められている。

さらに医学が発展し、人生100年が当たり前になりつつある現在においてもこのように様々な問題点が数限りなく挙げられているなかで、もし今後、人生150年、あるいは200年となっていけば、現代人には想像も及ばないような新たな問題点が出てくるであろう。

技術の発展に希望を託すことを何も否定はしない。

しかし、ハード面である技術の発展よりも何よりも、ソフト面を成長させることが何よりも大事である。
この「ソフト面」をこれまで疎かにしてしまったことが、あらゆる問題を解決不可能なまでに多様化・複雑化させてしまったのである。

「ハード面」とは、「目で見ることのできるモノ、触ることができるモノ」としたとき、
「ソフト面」とは、「目で見ることができないモノ、触ることができないモノ」と定義することができよう。

では具体的に「ソフト面」とは何か。
「生命」である。
ここでいう「生命」とは、DNAが作り出す物質的な「肉体」を指すのではない。
脳内の電気信号が作り出す抽象的な物でもない。

「幽霊」だとか「霊魂」だとかいうオカルト的なモノでもない。

「生命」を知り、なぜ生まれてきたのか、何のために生きているのか、なぜ死ぬのか。

「ソフト面」であるこの「根本的疑問」が解決されない限り、「ハード面」がいくら発展しようが「表面上の問題」は何一つ解決されることはない。
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